秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「…」
無言で携帯電話を握りしめた。
信じてるけど、嫉妬でどうにかなりそうだった。アンナさんを以前見た際、彼女は酔っていたけど明らかに拓海にアプローチしていた。
あれは、彼を狙っている目だった。それなのに、拓海は自覚がない。
「アンナさんは…拓海のことが好きだよ。多分」
「え?そんなわけない。だって、彼女は…」
「わかるの!私には…わかる」
つい、大きな声で彼の言葉をさえぎってしまう。
アンナさんに本気でこられたら勝ち目なんかない、だからこんな嫌なことを彼にぶつけてしまう。
そんなことを言う暇があれば、自分磨きでもしていた方がずっといいのに。
「ごめん、軽率だった」
「いやだ!もういいっ…疲れた!やっぱり無理なんだよ。芸能人と一般人が付き合うなんて…っ…」
「沙月!」
「もう寝る!」
私は荒ぶる感情をどうすることもできず、自分で消化することもできず、強引に電話を切ってしまった。
顔が熱くなって、気づいたら涙があふれていた。
寝室まで大股で進み、私はベッドの上にダイブして泣いた。
喧嘩なんかしたくない、したくないよ。もっと大人の対応が出来たら彼を困らせることなんかないのに。