恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
朝宮さんは何故ここで働こうと思ったのか、とかなぜか私への質問が多い。
普通こういうところは男性側が話を聞いてほしいものだと思っていた。私は、親のことは伏せてお金が必要だからここにきたことを説明した。

シャンパンを開けて、グラスへ注ぐ。

「シャンパンお好きなんですか?」
「うーん、そういうわけでもないけど」
「…」
「今日入荷したって聞いたから」
「そうですか」
「でも、君…飲めないよね?」
「え、」
「お酒飲めないんじゃない?」
「そんなことは…ないですよ」
「そうかな?もう胸元赤くなってるよ」
「っ」

くすっと笑って胸元を指さされて私は思わず手で隠す素振りを見せてしまった。こんなに胸の開いた衣装のせいで…。心の中だけでため息を溢してた。
朝宮さんは紳士な笑顔を見せながらどこか試しているような…いや、品定め?をしているような…

こんなところ、本当は来たくないのでは?何か別の理由があるような気がした。

「ん?どうかした?」
「いえ…」
「さっきの話だと相当お金に困ってるんだね」
「…まぁ、」
「そっか」

口角をあげて笑っている。

「君さ、俺がどんな仕事しているとか聞いてこないね」
「…すみません、緊張していて」
「そっか。ね、俺のことどう思う?」
「…、、、へ?」
「どう思う?」

指を口元で合わせて、前のめりになって私に聞く。
何を言っているのかわからない。意図が掴めない。何故そんなことを聞くのだろう。

「す、素敵です…はい」

何を考えてるかわからないし、イケメンといえばイケメンだけどこの空気感が苦手だ。

あなたが苦手です!なんて言えるわけもなく、わたしは嘘をついた。

「ふふ、わかった。ありがとう」
「…」

何がわかったというのだろうか。やっぱり彼の意図が掴めない。
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