恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
彼女の脳内を1度でいいから見てみたい。
頬を撫でていると嬉しそうに笑うのに、急に腕を突き上げて謎の言葉を発する。
本当に彼女は一緒にいて飽きない。

「…面白いなぁ」

毎晩俺よりも絶対に先に寝てしまうからこうやって彼女の寝顔を見ながら俺も眠る。
意外にもこの時間が好きだったりする。

桜子の唇を親指で撫でると眉間に皺を寄せて、嫌そうな顔をする。
なんだかその反応は俺が拒否されているような気がしてムッとなった俺は眠る桜子にキスをする。


「…ん、」

起こしたいわけではないけど、”おあずけ”を食らっている状態では多少は許してほしい。
触れるだけのキスを数回リップ音を響かせながら繰り返しているうちにスイッチが入ってしまってつい閉じられた唇を舌で割って侵入する。

「…ん、ん、」

軽いキスが深いそれに変わり、甘美な声を漏らしたかと思うと彼女はまだ夢の中なのに体を動かして顔を背けようとする。
苦しいのだろうか。

角度を変えて彼女の口内を弄び、これ以上したら俺自身も我慢が出来なくなるというところで自制心が働いて唇を離す。

桜子の唇が唾液で光っていて、妖艶に映るそれに大きく息を吐く。
我慢我慢、そう心の中で呟いてもう一度頬を撫でる。

すると桜子が幸せそうな寝顔を見せながら言った。

「…すき、千秋さん」
「…」

反則だよ。
ようやく俺の夢を見てくれているのだろうか、そうじゃなくてもそうであっても桜子のそれを聞いても”我慢”している自分を褒めてほしい。
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