恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
勝手に来て勝手に帰っていった夏希君に怒りに近い感情が沸いてきた。
…このピリついた雰囲気だけ残していくのって何なの!!

千秋さんは無言でコートを脱ぎ、寝室へ行ってしまった。

夏希君の告白はびっくりしたし今も信じられないけれど…結婚している以上夏希君とそんな関係になることはない。
でも”誓約書”という存在がこの関係を複雑にしていることは事実だった。

戻ってきた千秋さんは、ソファに座ると私にも隣に座るように指示した。

「…あの、夏希くんとは何もないのですが」
「うん、知ってる」

怒っているような、そんな雰囲気を感じながらも私はそっと彼の隣に腰を下ろした。

「髪、切ったんだね」
「はい!」

そっと私の髪を掬った。細い指が視界に映る。

「可愛い」
「…っ」
「すごく可愛い」

私の瞳を覗き込むようにそう言った。

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