恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
答えられずにいると、千秋さんはそっと私の体を離して

「まぁ、いいよ」
「…」
「せっかく桜子が作ってくれた料理、冷めちゃうから食べよう」
「は、はい…」

いつもの千秋さんに戻ったような、戻っていないような…よくわからないけれど、とりあえず私は残りの夕食の準備に取り掛かった。

…――


夕飯時は、「すごくおいしい」とか「用意ありがとうね」とか労いの言葉をかけてくれるもののどこか先ほどの空気が残っているような…そんな気がして私は小さく息を吐いた。

お皿を洗って、お風呂に入り、就寝時間が近くなっていたので

「千秋さん、もう寝ますね、」

リビングでワインを飲みながら本を読んでいる千秋さんに声をかけた。

「寝るの?」
「はい」
「今日は一緒に寝ようよ」
「え、」
「夫婦なんだし」

本を閉じて、にっこり笑う千秋さんに私は首を横に振った。
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