恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
好きになるための努力義務が発生したため、私は毎日千秋さんと一緒の布団に寝ている。
気づいたことが二つある。

一つ目は、千秋さんは寝るとき私を抱き枕だと思っているのか離してくれないこと。(抱き枕必須の人だったんだ…。)
二つ目は、千秋さんは寝ているとき、死んでいるように静かだということ。私なんて歯ぎしりとか酷いのに一切ない。

こんなに寝相がいい人を知らない。


そして、夏希君については、デートの件はちゃんとお断りの連絡をした。
千秋さんのことを好きになる努力をしなければならないから。

電話をしたのだけれど、なかなか納得してくれなくて大変だった。
というか今も納得してくれていないと思う。



「大丈夫?」
「あ、はい。全然」
「とりあえず、今日は一日中寝ていること」
「はい」
「食事も俺がなんとかするから心配しないで」

今日は平日だというのに、私が38度の熱を出した。それに気づいたのは千秋さんで、確かに体が重いような気がしていたのだ。
彼は、仕事を休んでくれた。



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