ストロベリー・ゲーム

「あたし、怜美のこと好きだったんだよ。まだ覚えてる。転校してからもしばらく、考えていたよ。怜美、優しいし、誰かの悪口とか言わないし。一緒にいると嫌な気持ちになることなかったもん」


そうだったの?

もう忘れられているのだと思っていた。

酷い話だけど、私は藍子のこと、本人に言われるまで思い出すことすらできなかったのに。

確かに昔二人で、教室で笑っていた気がする。

あの時はまさか自分が転校生と仲良くできるなんて思わなかったし、藍子と話すのは新鮮で、凄く楽しいって思っていて。

お互いがどんな服を着てどんなことを話して、どんな風に休み時間を過ごしたのか、今ではもう遠い思い出。でも藍子にはそうじゃなかったの。
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