お姫様は恋してる?
離れた時間は愛を育てるのか? 秀介
一叶の誕生日から半年ほど経ち、俺はニューヨーク支社長として異動になった。

最悪な誕生日にしてしまったせいか、あれからほとんど一叶は、口を聞いてくれなくなった。

香子には、俺と喧嘩したなら一叶が悪いんだろうから謝りなさいと言われ、しばらくは香子ともギクシャクしていたらしい。

一抹の寂しさは感じるが、一叶には一叶の交友関係を築いて欲しいから、入学した高校で楽しい日々を過ごしている事だろうと読みかけの書類に意識を戻した。

ピコン

メッセージを開くと笑顔の一叶。

『夏服になりました。かわいいでしょ?』

一叶は約束?を守って何も連絡をよこさないのに香子が呑気に一叶の高校生活を詳しく報告してくる。

あぁ、めっちゃかわいいよ。

いますぐ抱きしめたいくらいにな。

一叶は、どうか知らないが俺の方は、はっきりと自覚している。

俺は、一叶に惚れてるよ。

どっぷり嵌ってる。

ただ、一叶が俺のものにならないなら、潔く諦めるさ。

30も上じゃなきゃ、みっともなく縋るだろうが、そこまでできるほど若くないのは分かっているから。

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