お姫様は恋してる?
出席番号順で割と周りに座ったのもあり、1ヶ月もかからず前からの友達のようにすっかり仲良くなった。

唯ちゃんは、俳優の朝野洸太郎と女優の春宮ゆりかの子ども、あかり姐さんは建設会社の社長令嬢、純ちゃんは聖蘭の理事長の孫娘とみんななかなかのお嬢様なんだけど…

いつものように4人でお弁当タイムに唯ちゃんが言い出した。

「いっちゃんって笠松グループのCEOの娘なんでしょ?私たちよりよっぽどお嬢様じゃない。」

「うちは普通だよ。ひいおじいちゃんの家に住んでるし、こたつに入って鍋つつくような普通の家族だもん。」

ただその鍋メンバーが、今までは、パパとママと弟の一貴(かずき)と私にもれなく秀介がいたんだけど。

何してんのかなぁ。時差あるから、今は夜?

私がいないからキレイなおねーさんとお酒とか飲んでいるのかなぁ。

「いっちゃん?」

「あ、ごめん。唯ちゃん、何?」

「いっちゃんは彼氏とかいないの?」

「好きな人はいるんだけど、いま遠く行っていて会えないんだ。付き合っては…いないかな?」

「片想い?」

あかり姐さんも参加してくる。

「一番近くにいて半分家族みたいだったんだけど、離れる時に連絡しないし彼氏を作ってもいいって言われたの。」

「えーっ、それってただの幼馴染ってことじゃない。じゃあさ、純ちゃんのお兄ちゃんの啓太さんはどうかな。」

唯ちゃんは、啓太さんに彼女を作ってあげたいらしい。

「そんなに言うなら、唯ちゃんがなればいいのに。」

「いやいやいや…」  

そう言いつつ顔が赤い唯ちゃんが、可愛く見えた。

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