お姫様は恋してる?
月曜日、指輪をチェーンに通して制服の下に着けた。

今日、秀介はニューヨークに戻っちゃうけど、いままでと違って秀介のことを信じていられるってのは大きいな。

「おはよう。」

リビングのソファーで新聞を読む秀介は、帰り支度を済まして、スーツにメタルフレームのメガネ、前髪をかき上げるようにセットしていていつもの大人な秀介に戻っていた。

「おはよ、秀介。」

「一叶、おはよう。うん、制服もかわいい。」

顔がボンっと音を立てて真っ赤になったような気がする。

「しゅ、秀介…」

「朝から熱いなぁ。」

「パ、パパ…い、いたの?」

秀介の横に座り、スマホで何かをチェックしていたらしいパパに気付いて慌てた。

「いるよ。ってか、俺の方が先に座っていたぞ。二人だけの世界で見えなかったかぁ。」

娘を朝から揶揄う父親って何なのよ。

「一誠さん。秀介はしばらく一叶に会えないんだから、虐めちゃ可哀想よ。」

ママがダイニングテーブルに朝ごはんを並べながらパパに言ってくれた。

「どーでもいーから、俺、腹減った。」

一貴の一言で全員で朝食タイムとなった。

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