【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「まあ、俺の仕事は伊織の秘書なわけで
秘書は雇い主様に平穏で平和な毎日を送ってもらうのも仕事の一つではあるからね。
それに桃菜さんみたいなタイプの子には慣れ切ってるし」

「俺は全然慣れない。 あの子が言っている事さっぱり分からなかったがな」

また人の気持ちを考えていないと罵られるかなと思ったけれど、碧人は予想に反して苦笑いを浮かべた。

「俺は少しだけ分かる所も実はあるかも。
自分が持っていない物を人が持っていると羨ましくて仕方がなくなったり
そうやって自分を間違った方法で守る術しか知らなくて、もがいてるんじゃないかなあって。

きっと伊織や真凛さんみたいに真っ直ぐな性格だと分からない事も沢山あるんだろうけど、お前も知っている通り俺は捻くれているからな。
だからまあ、桃菜さんの事は俺に任せてくれ」

「ああ、すまない」

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