優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「そして、改竄用の書類を作成したのはそのパソコンの持ち主だ」

全員が私を見た。
データが復元され、作成したファイルが映し出された。

「どういうことだ。被害者じゃなかったのか」

「妹さんを()めたの?」

ざわめきが広がった。
額から汗が一筋流れた。

「日奈子に謝らないなら、まだ他の証拠もあるが、どうする?」

壱哉は日奈子に謝らなければ、間違いなく私をどこまでも追い詰める。
鋭い目がそれを証明していた。

「わかりました。日奈子に謝らせてください」

そう言うしかなかった。
これ以上、皆の前で晒されるわけにはいかない。

「そうか」

壱哉は一瞬だったけれど笑った。
おかしい。
何かがひっかかった。
これは私が罠に嵌められた?
だって、結局、最後に得をするのは―――
そう考えたら背筋が寒くなった。

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