優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません！
営業部に行くと、視線を浴びた。
けれど、それは今までの冷たいものとは違っている。
鈍い私でさえ、気づくほどのなにかが起きたようだった。
きょろきょろと落ち着きなく、周りを眺めていると壱哉さんが私に手招きをした。

「あ、あの？もう会ってもいいんですか？」

「もちろん」

私が近寄ると抱き寄せて自分のそばに置いた。
フロアには営業部と広報部の全員が集められていて、まるで罪人の処刑場のようだった。
それを作り出したのは聞かなくてもわかる―――壱哉さんだ。
水和子お姉ちゃんが青い顔をして、手が白くなるくらいきつく握っていた。

「日奈子に罪を着せた犯人が謝りたいというから呼んだんだ」

私を見つけると壱哉さんはにこりと微笑んだけど、それはこの場の空気に似つかわしくなくて、怖い気がして一瞬、怯んだ。

「な、なにが起きて？」

「ごめんなさい。日奈子」

水和子お姉ちゃんの声が震えている。
それは私に悪いというよりは恐怖で。
今園さんが混乱している私に目の前のパソコンの画像を見せた。
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