優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「今園には幸せになって欲しかったからな。渚生はいい奴だ。相手が渚生でよかった」

「そうですね」

今園さんは安島家に引き取られて、家政婦の様に使われていた所を会長夫妻が見かねて引き取ったらしい。
孫娘同然に可愛がっていたらしいけど、今園さんが恩を感じて、ずっと尾鷹のために生きることを決意して会長の秘書となり、影ながら支えてきたのだとか。

「それで、日奈子。俺との結婚だが」

「はっ、はい!」

「尾鷹の家に一緒に来てほしい。祖父と祖母が会いたいそうだ」

それは尾鷹家で一番偉くて、会社でもまだ大きな影響力を残している会長夫妻のことで―――私は緊張気味に頷いた。

「わかりました」

壱哉さんと結婚すると決めたからには避けて通れない道だった。
一体どんな人達なんだろう―――そう思うと、胸がどきどきしたけど、せめて目の前でお茶をひっくり返したり、転ばないようにしようと強く自分に誓ったのだった……。
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