優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「送るよ」

「で、でも、また送ってもらったって叱られるから」

「誰に叱られるんだ?」

いいつけたと言われたくないのか、日奈子は黙り込んでしまった。

「あ、あの、それじゃっ…わた、わたし、もういかないと」

よろよろと立ち上がり、日奈子が荷物を持ったその時

「日奈子ちゃん。手の荷物、持つよ」

さっと背後から現れた野月が日奈子の荷物を持った。

渚生(しょう)君……ごめんね」

「いいって。お隣だし、ついでだから」

お隣!?
俺は野月を見ると、勝ち誇ったような顔をして俺を見た。
日奈子はほっとしたような顔で野月にレジ袋を持ってもらうと歩いて行った。
人生初めての敗北だった―――のちに俺を負かした男として、野月は俺の中で認められ、友人となった。
ライバルで友達。
俺達のそんな関係は日奈子が俺と付き合うまで続いたことを当の本人(ひなこ)は知らない。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

日奈子は鈍い。
鈍いって言うのは行動を言っているんじゃない。
俺の気持ちを察しないところだ。
結婚してもそれは変わらず

「日奈子、買い物?」

「そうです。お弁当の材料を買いに」

「俺も行く」
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