優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
両手を胸の前に組んで乙女ポーズをする私を冷ややかな目で杏美ちゃんは眺めていた。

「ドン子のペースに合わせていたら、いつまでたっても手をつなぐだけで終わりよ」

「ひ、ひどっ!そんなことないよ」

杏美ちゃんはそんな手をつなぐなんて私をバカにしてるけど、実はあの壱哉さんとまさかの―――

「キスで満足してるんじゃないわよ」

私の心を見透かしたのか、真顔で杏美ちゃんに言われた。
まだ何も言ってなかったのに。
微妙な顔をしている私に杏美ちゃんは首を横に振った。

「言ったでしょ!お兄様に残された時間は少ないの!とっとと子供でもなんでも作って、結婚を迫るのよ!」

「こっこどっ……!?何言ってるの!?」

杏美ちゃん、こ、怖すぎだからね……。

「わかったわね?」

「わ、私より、杏美ちゃん。本当に結婚するの?」

「え?」

「杏美ちゃん。その、安島(あじま)常務のこと好きなの?」

「そんなの考えたことないわ。私に選ぶ権利はないのよ。優秀なお兄様と違って、私が尾鷹の家にできることなんて結婚くらいよ」

「杏美ちゃん」

「私の心配をしてる場合?ドン子はせいぜいお兄様に捨てられないようにがんばりなさい」
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