キミを描きたくて
フラフラとベンチから立ち上がって、また駅へ向かう。
今は、キラキラとした街だけ見ていたかった。


ブーッ、とバイブ音。
見る気さえ出ない。

どうせ、紫月くんからの返信だ。


たまには夜の、キラキラした街でも見て、酔っ払った人間でも観察していよう。

…お酒を飲むと、どんな絵が描けるのだろう。
歪んだ絵だろうか、それとも、ゴッホのような人々に伝わらない絵か…

気になるが、それを試すには4年もいる。
この前、アトリエで飲んでしまったけど。

あんな1杯では、酔えるはずもない。


繁華街へ出ると、明らかにガラの悪い男たちが近づいてくるのがわかる。
わざと道の端によって、避けるように歩く。


「お、可愛い子いんじゃーん」
「ハーフ?髪染めてんの?」
「俺たちと遊ぼうよー」


避けるように歩いたのにも関わらず腕を掴まれる。
…なるようになればいいとさえ思うのは、きっと自暴自棄になっているから。


「……まあ、少しなら____」


いいですよ、そう言おうとすると、ガッと体を後ろにひきつけられ、まるで後ろから抱きしめられたようになる。

嗅ぎなれた、香水の匂い。


「何してるんですかー、未成年に。」
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