キミを描きたくて
中に入ると、冷たいクーラーが体を冷やしてくれた。
先程まで人混みに居たから、汗がびっしょりだ。


「…で、本題だけどさぁ」


そう切り出したのは紫月くんから。
私は悠長に話なんて聞いてる暇は無い。


「てかその前に、聞きたいことあんだけど」


そういうと、彼は一枚の写真を見せる。
どうやらそれは、インターホンの画像だった。

それを見た瞬間、フラッシュバックしてくる。


「な、んで…なんで」

「このインターホンに写ってる男、誰?」

「なんで、なんでなんでなんで!!」


パニックに陥る。
その顔は、忘れもしないあの顔だった。

何度も、何度も何度も描いてきた、あの顔。

全く変わらない。
変わらないどころか、絵からでてきたように。


「…依茉ちゃん、落ち着いて」

「どうして、どうして樹がいるの?…だって、夏休みが終わる頃って」

「依茉ちゃん!しっかりして」


父は確かに、夏休みが明ける頃と言った。
…もう、日本に帰ってきている?

じゃあ、どうして入ってこない?

過去に住んでいた家の鍵やオートロックなんて、捨てるはずがない。
戻ってくることを前提にしてたんだから。
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