キミを描きたくて
「いつ、き…」


玄関に顔を覗かせる。
そこには確かに樹がいて、隼人くんが立っていた。


「依茉!俺だよ、わかる?久しぶり、ずっと会いたかったんだよ」


靴を脱いで上がって、私に飛びかかるように近づいてくるのを、隼人くんが止める。

何が起こっているのか、私には分からなかった。


「…お兄ちゃんなの」

「そうだよ、依茉。樹だよ」

「だって、帰ってくるのは夏休み明けって」

「依茉に会いたくて。それに実家いるの飽きたし」


まだ母さんが居座ってるからさー、なんて言いながら、隼人くんの腕を振り払う。

その勢いで、隼人くんが尻もちを着いた。


「…んで、聞きたいことがあるんだけどさ。男二人も連れ込んで、何してるの?」

「そ、れは…お友達で」

「依茉はずっと虐められてたでしょ?どこにお友達なんているのさ。俺、そんな妹に育ててないけど」

「違う、勘違いしてるよ、樹、ちがうよ…!」


まあ、なんて言いながら近づいてきて、私を強く抱きしめる。
暖かいその体温は、過去に感じたことのあるものだった。

…本物、なんだ。
現実を、受け入れるしかないんだ。


「奥にもひとりいるね。…殺していい?」

「何言ってるの…?」

「だって、俺の依茉だもん。おかしいでしょ?」
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