キミを描きたくて
「…依茉は、俺が嫌いか?」

「私は…わたし、は…」


嫌いなわけがない。
でもここで好きを出してしまったら、終わりだ。

都合よく解釈されて、無理矢理彼の思う通りにさせられて。


「"家族として"尊敬してるよ」

「…依茉」

「私、付き合ってる人がいるんだ。その人が好き」


ごめんなさい、なんて嘘をつく。
彼の目には、私は今何色で映っているのだろう?

私には、灰色にしか思えない。


「やっぱりか。名前を言え、俺が殺す」

「…ほら、すぐそうやって言う」

「俺はずっと依茉のために頑張ってきた。なぁ、お兄ちゃんを捨てないでくれるよな?」


カラン、とフォークが落ちる。
手に力が入らなくなっていく。

おかしい。なにかがおかしい。


「やっと効いてきたか…」

「なに、したの?」

「ちょっとだけ薬を、ね。箱に入れちゃえば、俺の作ったものなんてわからないでしょ?」


視界がどんどんぼやけていく。
ガタン、と音を立てて椅子から倒れ落ちる。

全身は痛むのに、睡魔が襲う。
ここで寝たらおしまいなのに。

どうしたら、どうしたらいい。
どうしたら、私はこの男から逃げられる?


そう考えても抵抗は虚しく、意識は落ちていった。
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