キミを描きたくて
でも、それからの日々は地獄だった。
アトリエに行くといえば必ず引き止める兄。


「ほら、今日は暑いから。デッサンでもしようよ」


「今日は夜雨だよ、辞めておこう」


何かと理由をつけて私がここから出るのを止めてくる。
毎日毎日毎日毎日、私の出口はない。

憧れていた樹との生活。

それはあこがれの正反対を行った。

こんなのを望んでいた訳じゃない。


「依茉、どこいくの?」

「アトリエ」

「今雨が降っているから___」

「いい加減にしてよ!」


そう怒鳴ると、兄は優しく微笑んで私を抱きしめる。
そして、そっと背中を撫でた。


「感情的になりすぎだよ。そうだ、ベランダから外を描くのは?あそこなら雨は当たらないし景色だっていいよ」

「…いい加減にしてよ、私はアトリエに行きたいの」

「雨で風邪をひいたらどうするの。依茉は体が弱いんだから」

「何日経ったと思ってるの。いい加減私だって外に出たいよ」


買い物に行くのは兄で、その間に外に出ることは許されない。
出かける時、彼は必ず私に足枷をつける。

こんな生活を望んでいたわけじゃなかったのに。
樹と絵があれば良かったはずなのに。

"それに、依茉ちゃんは高望みなんてしたことないでしょ?もっと貪欲になっていいんだよ"

そんな時、頭に隼人くんの声がした。
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