キミを描きたくて
「で、連絡先があるのはわかったけど...なんでその人なの?」

「は、隼人くんは...私が中学生の時からの仲で、頼みやすかったと言いますか」

「ふぅん...で、そいつは俺と付き合ってること知ってるの?」

「それは言ったので知ってると思います...」



なんでここまで怒られているのだろうか。
彼だってよく女子に囲まれていて、連絡先くらい交換するだろうに。

言い返したら、またああだこうだと責められ続ける。

大人しくしていなければならない。


私からすれば、彼は三の次くらいの感覚だ。
好きでもなければ強引に付き合わされただけの関係、絵を描かせてくれる訳でもない。

交友関係に口を出して、私の創作活動に影響を及ぼす。

正直、早く別れたいと言いたい。



「...そう。あのさ、わかってないのかもしれないけど」



そう言って私の顎を強く掴む。
力が強くて、顎が歪みそうな程に。



「お前、俺のものなのわかってる?」



それだけいうと、舌打ちをして出ていく。
なんだったんだろうか、と思いながら、机の上のスマホを取った。



隼人《僕もう次授業だから行くね!》
《依茉ちゃんも、次頑張って》



その言葉に、密かに心が浄化されていく。
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