キミを描きたくて
「依茉ちゃん、いらっしゃい」



放課後、コーヒーの深い匂いを感じながらカフェに入る。

鼻いっぱいに入ってくるその匂いに、喉が渇く。



「お疲れ様。今日は何飲む?」

「今日は...うぅんと、コーヒーで」

「ミルクと砂糖多め?」

「はい、お願いします」



後で持っていくね、そう言ってキッチンに消えていく。
今日はいつもより、お客さんが多い。



「嬢ちゃん、まだ通ってるのかい」

「え?あぁ...まぁ。」

「あのバイトの子と随分仲良しなんだねぇ。いやぁ、年齢が近いっていいことだ。」

「...そうでしょうか?」

「ちょっと年が離れてるからって、あの子は冷たい目をして...嬢ちゃんに対しては、あんなに優しいのにねぇ」



苦笑いして受け答えをする。



「まぁ、頑張ってくれ嬢ちゃん。今は小さな画家でも、いずれ大きな画家になる。...ゴッホがそうだろう」

「...ええ、そうですね」

「死後になりようやく評価されるのと、生前評価される...どちらがいいのだろうね」



次の絵を楽しみにしているよ、客であるおじさんは私にそう言ってくれた。
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