キミを描きたくて

Side Hayato

“ずっとここにいてほしい”



その願いは彼女には届かなかった。
ずっと伝えてきたつもりだった。

このカフェで出会ってから、ずっと...


届いてほしい、そう思う反面届かなくても良いのではないかと感じている。

白のキャンパスに何かを描く必要は、本当にあるのだろうか?

変な色でぐちゃぐちゃにするより、彼女は白のまま、美しいまま...


何にも染められず、純白でいい。


...そう思う、そう思っているはず。


しかし、そう思っているはずなのに、今も僕は彼女にコーヒーを飲ませている。

真っ白が、いつかコーヒーに染められ珈琲画になる...

良くない、そんなことはあってはいけない。



「隼人くん」

「...どうしたの?依茉ちゃん」

「その、ポーズを...こうしてほしくて」

「こう?わかったよ」



足を組むように指示され、大人しく足を組みながら彼女の顔を見つめる。

真剣そうなその顔が美しい。


なぜ、こんなにも美しいのに...



「......隼人くん?」
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