キミを描きたくて
「なんで何も言い返さないの?」

「別に…どう言われても、なんとも思わないし」

「ふーん。依茉は俺と合わないって言われようがなんでもいいんだ?」


私の手を握る会長の力が、どんどん強くなる。
そろそろ痛いと言おうとした時、会長が口を開いた。


「言っとくけど、逃げたいって言っても逃がさないよ」


さっさと帰るよ、そう機嫌悪そうに早足であるきだす。
きっと彼には普通のスピードなのだろうが、足の長い人にはなかなか合わせにくくて、難しい。


「ちょっ、早いですよ」

「何、うるさい」

「なんでそんなにおこるんですか…」


そう口に出してしまったのが、運の尽き。
チッと舌打ちをする。


「黙って俺についてくればいいだろ。お前が何言われてもよくたって俺は良くない」

「…だからってそんな、あんな言い方」

「依茉にはわかんないよ。俺がどれだけ好きかなんて分からないでしょ」


確かに、分からない。
ずっとわからないまま。

無理やり付き合って早1ヶ月程度。
別に私は彼を男として見ることもなければ、彼女らしいことをされた記憶もない。

…せいぜい、この前夏風邪か何かを引いた時に看病してくれたくらいだ。


何も返すこともできず、昇降口に着く。
みんなはもうきっと帰っていて、人はほとんど居なかった。
< 84 / 177 >

この作品をシェア

pagetop