キミを描きたくて

「ずっと友達」

「せっかく車だし、海でも見に行かない?」

「海、ですか。いいですね」

「そうそう!今日天気いいし、海風気持ちいいと思うよ」


ニコニコと笑いながら車を発信させる隼人くん。
教室での出来事も、会長の件もなくなるくらい、私の心が浄化されていく。

なんでこんなことになってしまったんだろう。
ただ、絵を描きたくて…そう、それだけだったのに。


「依茉ちゃん、学校は楽しい?」

「え?…まあ、はい」

「そっか、僕はレポート多くて大変だよ」


高校生に戻りたいな〜、なんて笑う。
私はなんで、そんなふうに笑えないんだろう。


「依茉ちゃんってさ、いつも彼氏とあんな感じなの?」

「へ?」

「すごい強引で、断れない…そんなかんじ」

「…強引、なんですかね」


思えば、2人で眠った時も彼はなにもしなかった。
"女の子と付き合う"ことに関してうわさの耐えない先輩は、私の思うより優しい。

でも今日帰るのだってそうだけれど、泊まるのだって、花火の約束だって私の意見は聞きはしない。

強引…その裏に、どこか優しさが垣間見えるように思った。


「別れたいとか、思わないの?」
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