愛は愛より愛し

そのバッグからネギが覗いており、今日の夕飯を想像した。

「こんばんは、世名さん。この間はありがとうございました!」
「いいえ、怪我の具合はどうですか?」
「すっかり治りました」

ロングスカートを捲り、膝を見せる恭子。道端でそんなことしないで、と霙がいたなら顔を顰めるだろうけど、私はあまり気にしない。

良かった、と涼しげに世名が返した。

そして恭子が私と世名の両方を見て口を開く。

「世名さん、今日は何か用事があるんですか?」
「いえ、特には」
「じゃあ家来てご飯食べません? 今日は冷や汁と豚肉のねぎ塩だれです」

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