愛は愛より愛し
学生だと思ってたけど、違うみたいだし。
しかもこの男もここら辺の職場ということだろう。
先程からチラチラと光を反射させる腕時計が目に入り、鬱陶しい。
ヒールを履いた私と同じくらいの身長だし、そこまで高くはないけれど、そのハーフ顔と腕時計を買えるくらいの財力を振りかざせば、何も私に絡まなくても女は沢山釣れるだろうに。
「あ、今、何時ですか?」
思い出したようにそう問えば、セナは手を離して腕時計に目をやった。
「12時50分です」
「昼休憩終わっちゃうので行きます。さよなら」
一応礼儀として頭は下げた。