愛は愛より愛し

そしてすぐに喫煙所から出て、猛ダッシュ。
弊社ビルの裏口から入って、守衛室にいたおじさんに訝しい視線を向けられた。

「不審者ですか?」
「い、いえ……」

いや、ある意味不審者だった気もする。

「休憩時間ぎりぎりだったので、走って戻ってきました……」

乾いた笑いを漏らしながら、廊下を歩いていった。誰もいない廊下にヒールの音がコツコツ響く。

あそこの喫煙所を使うのは当分控えよう。

穴場だったし悪く無かったけれど、仕方ない。

自分のこと、"私"と呼んでいた。営業かなんかだろうか。

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