愛は愛より愛し

玄関出サンダルをつっかけて、鍵を開けた。

「ぐれちゃんどこ行くの?」
「ちょっと電話。先ご飯食べてて」

外はもう暗い。
鍵をかけて、非常階段の方へ向かった。

その途中で世名の番号を探し、構わずかける。

ワンコールですぐに出た。
後ろでがやがやと音がする。

『こんばんは、閑野さんから電話もらえるなんて』
「こ、これなんですか?」
『うん?』

ばたんと扉が閉められた音により、世名の後ろで聞こえていた雑音が消えた。

「このライター。私の勘違いじゃなければ、イギリス製の、もう生産終了してる、数万はくだらない気が」

階段を下りながら言う。

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