イケメン御曹司の甘い魔法

お義父さんとお義母さんにはいつも驚かされる。

今回も突然思い付きのようにお義父さんが話し始めた。


「芽衣さん、今は会社を辞めて家に居るのだろ?もし会社に戻りたいのなら、一花は昼間預かろうか?」

確かに、以前私は一花が少し大きくなり手が離せるようになったら、会社に戻りたいと言ったことがある。

しかし、お義父さん達は今パリに住んでいるはず…


優斗さんもその話を聞いて、不思議そうに尋ねた。
「お父さん、今はパリに住んでいるだろ?日本にそんなに長く居て大丈夫なのか?」

すると、お義父さんはニヤリと片眉を上げた。

「実はな…日本にしばらく帰ってこようと思って、準備をしていたんだ。もちろんお母さんもそのつもりだよ…一花が可愛くてなぁ」


藤堂さんの実家は、以前のまま使用人の方々が管理している。
いつでも住むことは可能だ。

突然で驚いたが、よく考えてみれば、一花をお義父さん、お義母さんが預かってくれるのならば安心だ。
会社に戻りたい気持ちは、今でも変わらない。


「優斗さん、私は会社に戻りたいです。でも一つだけお願いを聞いてもらえますか?----------」

私が優斗さんにお願いしたのは、特に私を知らない人に、優斗さんの妻であることを内緒にしておいて欲しいという事だ。

優斗さんの妻となると社長の奥様だ。
まわりが気にするし、居心地も悪そうだ。


そして、私の会社復帰が決まった。
アルバイトとして会社に戻ることになった。

私が会社を離れてから、早いものでもうすぐ2年になるところだ。
新入社員、2年目社員はすでに私の顔を知らない。



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