イケメン御曹司の甘い魔法
「真理子、凄いね。今チームリーダーでしょ?仕事も出来て綺麗で女子の憧れらしいよ!」
すると真理子は、口角と眉を上げて私を見た。
「芽衣、本当に昔から何も分かっていないよね。芽衣がアルバイトで紹介された時から、皆大騒ぎだよ…」
「---------えっ私何か変だった?」
「違うよ!芽衣が可愛いってヒソヒソと皆が話しをしていたよ。結婚指輪は本物なのか?なんてね。」
「-----信じられない。」
「きっと、芽衣が社長夫人だと知ったら、皆ひっくり返るかもね…」
少しずつ思い出しながら、仕事に忙しく取り組んでいると、まわりがザワザワと騒ぎ出した。
何かあるのかと思っていると、隣の席の関根さんが小さい声で教えてくれた。
「今、珍しく社長が営業部に来ているらしいです。それで皆が緊張しているみたいですよ。」
社長ということは、優斗さんだ。
まさか、私の様子を見に来たのだろうか?
私は気づかれないように、PCの影に隠れるように体を屈める。
「お疲れ様。アルバイトで営業部に入った方かな?」
聞き覚えのある声に振り返ると、やはり優斗さんだった。
片眉を上げて白々しい顔をしている。
「--------っは---は---はい。そうです。---ゴホッ」
「そうですか。よろしくお願いしますね。」
慌てている私を面白がるような表情だ。
(--------腹が立つ!!------)
優斗さんが通り過ぎると、営業部の女性たちが近寄って来た。
「藤堂さん。社長に話し掛けられるなんて、羨ましい!」
優斗さんは相変わらず女性たちに人気がある。
この人の妻です!と自慢したい気持ちもあるが、知られたら大変なことになりそうだ。
真理子が、耳元で囁く様に話をして来た。
「社長夫人、旦那様はとても人気ですね。ご心配ではありませんか?」
「------------っな!---真理子!!」
真理子はひらひらと手を振って笑いながら逃げていく。
そんな私達を、隣の席で関根さんはジッと見ていた。
そして、遠慮がちに話し始める。
「…あの…藤堂さん。私は皆さんと話をするのが苦手なのです。どうすれば藤堂さんのように、皆に話し掛けられる人になれるのですか?社長まで藤堂さんに話し掛けていましたよね。」
関根さんの発言に驚いた。
まるで、本当に昔の私みたいだ。
話し掛けたい気持ちはあるけれどできないのだ。
自分に自信が持てないのだ。
さらに、私と似ている所を目撃してしまう。
営業部の女性が関根さんに近づいて来た。
「関根さん、お願いこの仕事、お願いできないかな?どうしても今日は用事があってね。お願い。」
「------はい。良いですよ。」