イケメン御曹司の甘い魔法
優斗さんと九条社長が、挨拶等で呼ばれていなくなり、関根さんと二人になった。
「藤堂さん、この夢のような出来事は、現実なのでしょうか?」
「関根さん、現実だよ。有名パティシエのケーキを貰いに行こうか?」
私達は会場の奥に進み、パティシエのケーキを貰いに進んだ。
大きなショーケースの中には、まるで宝石のような美しいケーキが並んでいる。
どれも食べてしまうのが、勿体ないと思うものばかりだ。
私は大好きなチョコレートをベースにしたケーキを選んだ。
そのデコレーションも美しく、まるでケーキにバラの花が咲いているようだ。
関根さんは、フルーツたっぷりのケーキを選んだ。
フルーツがケーキの上にぎっしりと乗せられている。
フルーツの色合いも美しい。
用意されたテーブル席でケーキを待つことになり、移動しようとしたその時、
「-----あっ、もしかして---久美ちゃん?」
後から関根さんを呼ぶ男性の声が聞こえた。
関根さんと一緒に私も振り返る。
白い襟の詰まったシャツに、腰から長い黒のエプロンをつけた男性が関根さんに声を掛けていた。
恐らく、今日のケーキを作っているパティシエのようだ。
関根さんは分からないらしく、不思議な顔をしている。
「---あっ----あの---どちら様でしょうか?」
するとその男性は残念そうに話し始める。
「久美ちゃん、僕を分からない?昔、隣に住んでいた達也だよ。思い出さない?」
久美ちゃんの顔がパッと明るくなった。
「もしかして、達お兄ちゃん?」
男性はうんうんとばかり、大きく笑顔で頷いている。
「今回、このパーティーに呼ばれて日本に帰って来たんだ。パティシエの勉強でヨーロッパをあちこち回っていたのだけど、九条さんに呼ばれて日本に帰って来たんだよ。」
達也と名乗るその男性に、関根さんは飛びつき抱き着いた。
まわりの女性から、キャーッと悲鳴が聞こえる。
関根さんが、こんなに大胆に喜ぶとは私も驚いた。
よほど会いたかったのだろう。
この男性は、九条社長が呼び寄せた有名パティシエで、そのルックスもかなりのイケメンで有名だ。
少し線の細い美しい顔、背の高さは恐らく180cmはありそうだ。
髪は清潔に耳まわりを短く刈り上げているが、恐らくコック帽を外せば、おしゃれなツーブロックだろうと思われる。
全体的な感想としては、お洒落な男性というイメージだ。
どうやら、関根さんと合うのは10年ぶりくらいらしい。
そこへ優斗さんが近づいて来た。
「芽衣、彼は関根さんの知り合いなの?」
「はい。どうやら幼馴染のようで、10年ぶりの再会みたいですよ。」
優斗さんは、悪戯な表情をした。
「芽衣、俺たちは先に帰るとするか。」
「関根さんを置いて行って大丈夫ですか?」
「九条に言っておけば、パティシエ君にも伝わるから大丈夫だろ。邪魔しないほうがよさそうだぞ…」
関根さんは、溶けそうな笑顔で達也さんと話をしている。
あんな表情を見たのは初めてだった。