【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈改稿版〉
藍のその表情は、まるで人形みたいにフリーズしていた。
だけどその目は、嬉しそうに笑っているように、わたしには見えた。
「……そうだよ。起きたんだよ、奇跡が」
小さな命がわたしたちの宝物になり、産まれてきてくれた。
これはどう考えても奇跡としか、言いようがない。奇跡以外に呼べるものは、きっとない。
初めての出産は、とても大変で、とても痛くて、とても辛いものに感じた。まるで頭が真っ白になりそうなくらいだった。 鼻からスイカ……というけれど、本当に切実にそう思った。
陣痛が来た時は早いなと思ったくらいだったし、正直本当に戸惑ったし、焦ったりもした。
だけどその分だけ、幸せがやってきたことに変わりはないから……。こんな天使がやってきたら、その辛さなんて吹っ飛んでしまった。
その後病室に戻ったわたしたちは、赤ちゃんの名前を決めることにした。
藍が決めてくれた二つの候補の中から、選抜された名前を今日ここで聞けるんだな……。
「藍、名前教えて」
「俺が付けたい名前は、結人(ゆいと)だ」
「結人……?」
「ああ、結ぶに人と書いて結人だ。 結人には、たくさんの出会いに感謝して、これから出会う人との繋がりを大事にしてほしいという願いを込めて、結人にした」
結人……。素敵な名前。