【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈改稿版〉
それから、しばらくし経過した時のことだった。
「透子ちゃん、大丈夫?なんか体調悪いの?」
「……いえ。その、なんていうか……。ちょっと最近、熱っぽい感じがして」
高城藍と一夜を共にしてしまったあの日の夜から、高城藍から連絡が来ることはなかった。
そしてその時に気付いた。やっぱりわたしは、彼にからかわれていたのだと。
「大丈夫? 病院行ってきたら?」
「はい。……そうします」
そしてわたしを弄ぶためにあんなことをしたのだと気付いて、猛烈に腹が立った。ぶん殴ってやりたいくらい腹が立った。
あの日の夜のことは、忘れることにした。そして彼とは絶対に、金輪際二度と関わらない。
……そう決めていたはずだった。なのにあの時のあの言葉の意味を分かる日がくるなんて、思ってもなかったーーー。
* * *
「藤野透子さーん、診察室へどうぞ」
「あ、はい」
その日の夕方、わたしは早退させてもらい病院に診察に来ていた。何日か微熱が続き、風邪っぽい症状があったためだ。
誰かに移したりしたら大変だと思い、ちゃんと診てもらおうと思ったのだけれど……。
まさかそこで、あんなことを告げられることになるとは、思ってもなかったーーー。