【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「そうだ。おまえは聖女だ。ここに男を受け入れたら……」
「あっ」

 体がふわふわして浮かびあがりそうになる。気持ちいい感覚がどんどん体の奥にたまっていく。

「おまえがここに国王の男の印を受け入れて」
「国王陛下の?」
「子種を出されれば……、女神との契約が成される」

 わたしが聖女で……。
 ここが聖女継承の儀のあとの、初夜の儀の寝室だったら。
 ヴォルフの指が、国王陛下の男の印だったら。
 わたしにのしかかる男がヴォルフではなくて、別の男だったら。

「いや……そんなの、いや!」

 わたしを押さえつける男を跳ねのけようと、わたしは暴れた。

「いや、いや!」
「マリアーナ、大丈夫だ。俺だ。ヴォルフだ」
「ヴォルフ……、ヴォルフよね?」
「そうだ、怖がらせてすまない」

 わたしを抱きしめて、まぶたに頬に唇にちゅっちゅっと口づけを贈ってくれるこのひとは、わたしの聖獣。

「ヴォルフ……」

 けれど、しばらく黙りこんだヴォルフが口を開いた時に出てきた言葉は、わたしの心を一瞬で凍らせた。

「しかし、女神の加護はどうする?」



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