【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~

9.ふたりの聖女 - side 女性神官 -



「東方神殿で、次代の聖女様が見つかったそうよ!」
「まあ、早かったわね」
「よかった! これで王国も安泰ね」

 その一報が届けられた時、大神殿は大いに沸きました。
 聖宮では新たな聖女様をお迎えするための準備が慌ただしく進められます。
 わたくしも例に漏れず、同僚の女性神官達とやや浮かれた気分で日々を過ごしておりました。

「聖女様はどのような意匠をお好みでしょうか」
「可愛らしい雰囲気がよいかしら」
「また十代でいらっしゃるものね」

 白い石造りの大神殿は大きくて荘厳ですが、聖宮は女性らしい繊細な彫刻のほどこされた美しい館。きっと聖女様も気に入ってくださるでしょう。
 けれど、先代の聖女様のご趣味に合わせた内装は落ち着いた大人っぽいもの。布類にほどこす刺繍や日々お使いになる小物くらいは、次代の聖女様にふさわしい若々しいものにしなければ。

 それから、しばらく経ってからのこと。

「聖女様がお着きになったわ」
「お出迎えを……!」

 聖宮の新たな主となった聖女様はとても清楚で美しい少女でした。
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