【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「聖女様、お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「朝早くから支度をお願いして、すみませんでした。皆さんもお体に気を付けて。ありがとうございました」

 いつもの慎ましいお姿なのだけれど、何故か別れの言葉のように聞こえて……。
 わたくしの胸に聖女様を引き留めたいような、いやな予感がこみあげたのでした。





 * * * * *





 聖女様の様子が変わったのは早朝の王宮への呼び出しより戻られ、しばらく経ってからでした。

 艶のある真っ直ぐな黒い髪、静かに微笑む青い瞳。
 やや内気でうつむきがちだけれど、隠しきれない清らかな美しさが表情ににじみ出ています。

 聖女様に何もお変わりはない。
 ……そのはずなのに、どこか違和感がありました。
 以前と変わらぬ日々を過ごすうちに、違和感はどんどん強くなっていき……。わたくしだけでなく身近に仕えていた女性神官達はみな、大なり小なり引っかかりを感じているようでした。
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