【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「美しい」

 あらわになったわたしの胸のふくらみを眺めて、陛下がため息を吐く。
 いつの間にか両手が頭の上で拘束されてしまっていて、胸を隠すことができない。

「あっ……あぁ!」

 陛下にふれられ、突然の刺激に声が出てしまう。

 でも……。
 ヴォルフにふれられた時の痺れるような快感とはまったく違った。
 ときめきと喜びと……。
 うれしくて、幸せで、この時間が永遠に続けばいいと思った、あの時。

 陛下がわたしの下着の横を結んだ紐に手をかけると、寝衣と同じように下着もはらりとほどけた。

 これ以上は……いや。
 ヴォルフにならなんでもしてほしかったのに、もう耐えられない。

「……そろそろ薬を使うか」

 陛下が体を起こして離れていき、詰めていた息をようやく吐き出す。
 寝台の横にある小机には水差しやグラス、盃のほかに、小さな瓶が一本置いてあった。陛下はそこから小瓶と盃を取ると、わたしに掲げて見せた。

「孤月の誓いを立ててもらおう」
「孤月の、誓い……」

 小瓶から盃に葡萄酒のような赤紫色の液体をそそぐ。
 陛下はわたしの背に腕を回して起きあがらせた。
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