【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「女神レクトマリアに命の灯を捧げます」

 ヴォルフと声をそろえて言いながら、ふたりで持った蝋燭を祭壇に供えた。蝋燭の炎がゆらりと大きくなる。
 女神様が厳かな声でわたし達に問いかけた。

「ヴォルフ、マリアーナ、お互いを唯一の番として、いかなる時もその心と体を愛し慈しむことを誓いますか」

 ヴォルフが胸に手をあてて宣誓する。

「マリアーナを唯一の番として、どんな困難からも守り、生涯をかけて愛することを誓う」
「わたしも……ヴォルフを唯一の番として、何があっても信じ、いつまでも大切にし、一生愛することを誓います」

 気が付いたら、涙がひと粒こぼれていた。
 子供のころ、神殿で見た親戚の結婚式を思い出す。綺麗な花嫁さんと誇らしげな花婿さん。
 当時からもう、わたしは愚図な子として、街の人達からはからかわれたり遠ざけられたりしていた。そんな『蕾のマリアーナ』がまさかこんな美しい結婚式ができるとは思いもしなかった。

「女神様、ヴォルフ、眷属神のみんなも、素敵な結婚式をありがとうございます」

 女神様は優しい顔で「幸せになるのよ」と笑った。

「それでは、誓いの口づけを!」
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