【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 それからジャネリーさんがお茶を入れてくれて、わたし達はしばらく話をした。

「そういえば、神殿長様はもうおやめになったのですか?」
「はい……」

 神殿長は聖女継承の儀の直後に職を辞し、モーリーンとともに北方神殿へ向かったそうだ。
 初夜の儀の場に女神の御使いが現れ、聖なる水晶や聖剣を跡形もなく破壊し、最後には聖女をさらっていった――その出来事で王宮も神殿も大混乱だった。神殿長がその騒ぎの責任を取るという形で、とりあえず事態を収めたらしい。

「モーリーンは……」
「モーリーン様はずっと抵抗されていましたが……、陛下に説得されて、大人しく北方に向かわれました」

 大人しく……陛下に説得されたくらいで、モーリーンが大人しくなるだろうか。ちょっと疑問だったけれど、モーリーンが問題を起こしたりしていないのなら良かった。
 わたしとモーリーン、二人の娘を失った両親は親戚の子供を養子に迎え、跡継ぎとして育てることにしたとのことだった。
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