【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「あと、近々国王陛下が退位されるそうです」
「退位……そうですか。王太子様が次の国王に?」
「はい。王太子殿下は即位の前に、ご自分の政見を民にも広く告示されました。皆とても驚いたようですが……、今は概ね受け入れられているようです」

 新国王としての王太子様の方針は、聖女に頼らずに国の政を行っていくというものだ。

『――女神レクトマリアより、今後聖女に加護を与えることはせぬとの神託があった。そしてその徴として、女神は聖なる水晶を風に散らし、大地に戻された。
 何故女神レクトマリアは我々から聖女の加護を取りあげたのか。
 それは女神がレクトマリア神聖王国の国民を見捨てたからではない。本当は我々ひとりひとりに、既に女神の加護が与えられていたからである。そのことに民が気づいていない現状を女神は嘆いているのだ。
 これからは愛と豊穣の女神にふさわしい国になるよう、さらに妻を愛し夫を愛せよ――』

「……告示と同時に王太子殿下のご婚約も発表されました。即位されたらすぐにご結婚されるそうです」
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