【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 もう……、最近子供のことばかりだったから、甘えてるのね?

「……うん、じゃあ、抱っこしていってくれる?」

 ヴォルフの気配がぱあっと明るくなった。ちゅっちゅっと口づけが降ってきた。

 ヴォルフに抱えられたまま、赤ちゃん用の寝台を見に行くと、子供達は穏やかな寝息を立てて眠っていた。
 走りまわる夢を見ているのか、時々足が宙を蹴る。むにゃむにゃと何かつぶやいて、兄弟に身を寄せる様は、とても微笑ましかった。

「クゥン……」
「……ん?」

 今のはヴォルフだ。
 人の姿なのに、狼の甘え声。

「ヴォルフ、大丈夫そうだから、寝台に戻りましょうか……?」

 わたしが声を殺してささやくと、ヴォルフはわたしを抱いたまま寝台に戻ってくれた。





 しんと静まり返った部屋に、静かな寝息だけが響く。
 その夜の静寂を破るのは――、

「クー……」
「キュー……」
「クゥン……」

 赤ん坊と……夫の可愛らしい鳴き声の三重奏。
 狼達の寝言を聞きながら、わたしは幸せな眠りについたのだった。


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