【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「……あぁ……」
ゆっくりと優しい口づけ。身をよじるような激しい快感はない。
けれど、彼に愛されているのだと、より深く感じた。
「マリアーナ……」
「ヴォルフ……愛してる」
気持ちは不思議なくらい穏やかなまま。
「ああ……俺も愛している」
ヴォルフはわたしを横向きにし、自分も横たわって、後ろから腕を回す。
「あたたかい……」
ヴォルフが漏らした吐息が耳にかかった。
「うん……あたたかいわ……」
背中に感じる大きなぬくもりに、ときめきを感じたその時――。
「キューン」
子供の鳴き声がした。
「……!」
一度声を上げただけで、起きる気配はない。静かな寝息も聞こえてくる。
泣いているわけではなさそう……? 寝言かしら。
振り返ると、ヴォルフも耳を澄ませながら、こちらを見ていた。
「様子、見る?」
「ええ……いい?」
「ああ。もちろん」
ヴォルフに抱きあげられる。
「え……? わたし、歩けるわよ?」
「離したくない」
ヴォルフが駄々をこねるように、主張した。その場で立ったまま、わたしの頭に頬をこすりつけ、すりすりする。
ゆっくりと優しい口づけ。身をよじるような激しい快感はない。
けれど、彼に愛されているのだと、より深く感じた。
「マリアーナ……」
「ヴォルフ……愛してる」
気持ちは不思議なくらい穏やかなまま。
「ああ……俺も愛している」
ヴォルフはわたしを横向きにし、自分も横たわって、後ろから腕を回す。
「あたたかい……」
ヴォルフが漏らした吐息が耳にかかった。
「うん……あたたかいわ……」
背中に感じる大きなぬくもりに、ときめきを感じたその時――。
「キューン」
子供の鳴き声がした。
「……!」
一度声を上げただけで、起きる気配はない。静かな寝息も聞こえてくる。
泣いているわけではなさそう……? 寝言かしら。
振り返ると、ヴォルフも耳を澄ませながら、こちらを見ていた。
「様子、見る?」
「ええ……いい?」
「ああ。もちろん」
ヴォルフに抱きあげられる。
「え……? わたし、歩けるわよ?」
「離したくない」
ヴォルフが駄々をこねるように、主張した。その場で立ったまま、わたしの頭に頬をこすりつけ、すりすりする。