それはきっと、甘い罠。





耳元で囁かれた。


吐息が熱いだけなのに、鞍馬君の声すらも熱を帯びている様に感じて、耳がピクピクと反応してしまう。



「く~ら~ま~!!」


教室では過激な鞍馬君の行動に
イスから立ち上がったなっちゃんが、鞍馬君の首根っこを掴んで私から引き離した。



「うわっ照島、そんな怒んなって!」


「ほんっと無理なんだけど!!
 このみに近づくな~!!」


「あーはいはい、照島も構ってほしかったのね。
 素直じゃないねーお前も。」


「……っ!?頭なでんな!!」



この状況でよしよしとなっちゃんの頭を撫でる鞍馬君は本当に大物だと思う。



それにしてもなっちゃんの怒った顔……久しぶりに見たな~。


なっちゃん可愛いけど、表情筋死んでるからほとんど無表情だもんね……。


私といる時はまだ柔らかい方だけど。


クラスメイトにはいつも無表情だもんね。



こんなに可愛いんだから、愛想よくしたら
絶対にモテると思うんだけど……。




「きゃー!鞍馬君と照島君の絡みが見られるなんて神様ありがどう~!!」


「学校一のイケメンと学校一キュートなふたりの組み合わせとか最高すぎる……っ!」


「どちらかと付き合いたい……!!」



何やらクラスの女子が教室の端で興奮し始めてる。


訂正。


なっちゃんは鞍馬君と渡り合うほど、クラスメイトにモテモテみたいだ。





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