それはきっと、甘い罠。





昼休みを終わらせるチャイムが響き渡り、さっきまでうるさかった教室も先生が足を踏み入れた瞬間静まり返る。




テスト期間も無事に終わり、少しだけ気が抜けた教室内で私情的事件は起こった。



「おっ、ラッキー。
 俺の隣藍野ちゃんじゃん。」



行われた席替えで、一番後ろしかも窓際の席になって『やったー!』なんて呑気に喜んでた顔の綻びも、きゅっと紐が結ばれたように表情が一気に硬くなる。



私の隣の席に座る鞍馬君は体ごとこっちに向けて、私に笑顔を見せる。



かっ……かっこいい。



じゃなかった!!


えっ、えっとなっちゃんは……。


視線をキョロキョロ動かし、なっちゃんの姿を探すけど。


どうやら助け船は、私とは一番遠い教室の入り口の近くの前の席に座ってる。


なっ……なっちゃん!!


なんであんなところに……。


鞍馬君相手にひとりで立ち向かえなんてそんなの無理だよ~~!!



なっちゃーーん!!!!




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