それはきっと、甘い罠。





「えー、せっかく藍野ちゃんの可愛い顔じっくり見れると思ったのに~。
 普段関わりないからさ、つか藍野ちゃんが俺に近寄ってこないし。
 だからずっとどんな子なんだろうって気になってたんだよね。
 だから喋らせてくれても良くない?照島ばっかり藍野ちゃん独り占めしてズリィの。」


「近づくな、喋るな、触るな。
 このみは純情なの。お前の周りにいるような子と一緒にしないでくれる?」



「うーん、俺の周りにいる子はいい子多いよ?
 てか、なるほどねぇ。これはめんどくさい番犬だなー。
 照島と藍野ちゃんってもしかして付き合ってるの?」


「付き合ってない。
 でも僕らは兄妹みたいなもんだから、このみが危険な時は僕が助けて当然なの」



「でも別に、今危険じゃないじゃん?」



「どっからどう見ても危険でしょ。鞍馬みたいな女の子なら誰でもいい奴に、このみを近づけさせるなんてあり得ないから。」



「うっわー、すごい言われようじゃん。
 俺照島に何かしたっけ?」


「してない。ついでに言うと僕はお前のこと嫌いじゃない。けど、このみの事となると別。わかった?」



「分かったならさっさとどっか行って」と冷たい声色で言うなっちゃん。


しっしっと猫を手で追い払う様に、冷たい視線を鞍馬君に向けるなっちゃんはすごく頼りになる幼なじみだと思う。






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