それはきっと、甘い罠。
けどさすが鞍馬くんだと思う。
空気を読まずに、なっちゃんの凍えたレーザービームな視線を無視して私とまた目を合わせる。
「付き合ってないなら俺が藍野ちゃんに迫っても、何ら問題ねーじゃん?」
「あっ、あの鞍馬くん?」
なんでそんなに甘い目で見つめるの?
それに……さっきよりも距離が近いような気が……。
「俺さー、藍野ちゃんともっと話してみたかったんだよね。
クラスメイトなのに、あんまり目すら合わないもんね俺ら」
「それは……」
私が避けていたというか。
そもそも鞍馬君の視界に私が映ってるわけないって思ってたし。
鞍馬君チャラいけど……正直ものすごく顔がタイプだから。
絶対に関わったら落ちちゃう。
だから今までできるだけ視界に入れないようにしてたのに。
まさか本人から私に関わってくるなんて、そんなの聞いてないよ。
でもやっぱり……いくら顔が好みだからって
なっちゃん以外の男の人と話すのはやっぱり苦手だよ。