【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
初々しくない一年生


「おはようございます」

 前から歩いてきた男子生徒たちが丁寧に頭を下げ、はきはきと挨拶した。

 うん、元気でいいねー。『学校』なんて久しぶりに来たけど、若さと明るさがあふれてる。

「おはよう」

「みなさん、おはようございます」

 セドリックとわたしは、軽く会釈をして通りすぎた。

 ここは、王立高等学園。
 貴族の子弟が通う学園だけあって、広い敷地に教育棟、研究棟、図書館、寮などの重厚な建物がつらなる、立派な教育施設だ。
 わたしたちはその学園の長い廊下を歩いていた。

 セドリックがここに入学してから、半年が経った。
 つまり、わたしたちが結婚してから半年。

 わたしもそろそろ本格的に、王族の仕事を始めなければならない。
 というわけで、まずは王立高等学園の理事長を拝命することになった。今日の予定は、理事長就任の挨拶だ。

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