【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「全部顔に出てる。僕のことが大好きで、信頼しているから、顔に出ちゃうんでしょう? 僕の前では、とりつくろわなくていい」

 くすくすと笑うセドリック。なんだかセドリックのほうが年上みたい。

「セドリックったら……自信家ね?」

 ちょっとむくれていると、セドリックがわたしのほっぺにチュッとキスをした。

「僕は本当に、アーリアが好きだよ」

 優しいけれど……、目をそらしたくなるくらい熱い視線。子供のようにあどけなくて、でも、青年の強さを秘めた表情。

 その美しく整った顔がふっと陰りを帯びた。

「でも、アーリアの僕への気持ちに、そんなに自信があるわけじゃない。どうしたって僕は十も年下だ。……時々、思うんだ。僕は、アーリアにふさわしくなれているかな。僕は……これからも、アーリアの心を引きとめておけるのかなって」

 セドリックのこんな弱々しいところ、初めて見たかも。いつも強引で、マイペースに我が道を進む人なのに。

 うつむく横顔に――その弱音に、胸がきゅんとする。年相応の少年らしい姿を守ってあげたい……。

「セドリック……、わたくしもあなたが好きよ」

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